ダウ理論 その3 時間軸とフラクタル構造




  その3まで続いてきたダウ理論も今回で最終回になります。



  


  これまで続けてきたダウ理論は、値動きの基本でありとても大切なものなんだよとしつこく話してきました。



  しかしながら始めたての人にはすごく抽象的な考え方ばかりでピンとこないものの方が多いのかなとも思います。抽象的な話は様々な事象を俯瞰でとらえることが出来る視点なので装備さえ出来れば応用のきく非常に便利なのものなのですがその反面ピンときにくいんですね。



  これを身に着けるにはその抽象的な視点を通して多くの具体的な値動きを見るほかないんですよね。




  つまり目線の付け方で言えば、まずひたすら目線を付けてみる。その中で”こういう習性あるんじゃないか?”みたいな仮説だったりが浮かんで来たらその仮説が本当なのかひたすら自分で確かめる。





  このような作業の繰り返しで、ある一つの視点で相場を見た時に”こうなりやすい”という具体例を多くストックしていく作業がいわゆる検証というものになります。





  自分の中にストックという点が出来ればできるほど、その点同士がつながりやすくなり、線ができやすくなります。



  いまはまだ始めたばかりで点が少なくつながっていきにくいですが、学習を進めるにつれて点が増えていき徐々につながっていくので全然焦らないいで進んでいきましょう。




  仮にダウ理論が分かりにくいなあとなっていても後からできた視点によってダウ理論への理解が深まったり、全然ピンとこない視点でもすでに持っている視点によって理解が深まるということがめちゃめちゃあります。




  そのキモチイポイント(なんだそれ)を迎えるためにも頑張っていきましょう('ω')





ダウ理論



  今回はついにダウ理論最終回です。非常に名残り惜しい気持ちがありますので感謝の意味も込めてもう一回読んでみませう!(^^)!



1.平均はすべての事象を織り込む

政府が発表する経済統計や企業の業績・更には自然災害の様な予測不可能な事象に至るまで、需給に関するあらゆる事象は全て市場価格に織り込まれる。市場価格はあらゆるファンダメンタル(材料)の反映であるという考えであり、その意味で効率的市場仮説の主張に基づいた考えとも言える。


2.トレンドには3種類ある

ダウ理論では、価格変動の分析において市場動向(トレンド)を重視する。そのトレンドを以下の3つに分類している。

主要トレンド:1年~数年のサイクル。

二次トレンド:3週間~3ヶ月のサイクル。

小トレンド :3週間未満のサイクル。

これらのトレンドは互いに独立しているのではなく、二次トレンドは主要トレンドの調整局面であり、小トレンドは二次トレンドの調整局面として捉えられる。


3.主要トレンドは3段階からなる

また、主要トレンドは買い手の動向によって3つの段階からなるとしている。

先行期 :市場価格が下落し全ての悪材料は織り込み済みと判断した少数の投資家が、いわゆる"底値買い"をする時期。価格は、下落しているか底値圏で上下している。

追随期 :市場価格の上昇を見て追随者が買いを入れる時期。価格は、上昇局面にある。

利食い期:価格が充分に上昇したところを見て、先行期に買いを入れた投資家が売りに出て利益を確定する時期。価格は既にその前から上昇局面にあるものの、その上昇する値幅は小さくなっている。


4.平均は相互に確認されなければならない

複数の平均的指標が存在する場合、その両者に同じシグナルが見られないなら明らかにトレンドとして捉えることは出来ないと考える。もっともシグナルが同時期に出現する必要はないものの、直近においてシグナルが発生していればトレンドとして捉えるべきであり、且つ可能な限り同時期に近ければ確定的としている。

ダウが活躍した時代のアメリカでは、工業生産が盛んになると共に製品を輸送するための鉄道が整備された時期であった。工業生産の好調・不振は即座に鉄道業の経営に影響したことから、ダウが創刊した『ウォールストリート・ジャーナル』ではダウ・ジョーンズ工業平均株価と運輸株平均をチャート形式で掲載している。


5.トレンドは出来高でも確認されなければならない

市場の終値の変動をダウは重視するが、同様にトレンド発生の確認手段として出来高の推移も重視する。

例えば上昇局面においては値上がり時に出来高が増加し値下がり時には出来高が減少、下降局面においては逆になる。主要トレンドに従って取引する投資家が多数派であり、二次トレンドや小トレンドで利益を得ようとする投資家は少数派であると考え、それが出来高の多少に反映するとする。


6.トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する

現在の市場で発現しているトレンドは、明確にトレンドの転換シグナルが現れるまで継続し続けるとする。トレンドに従った売買によって多くの投資家は利益を得るのであり、トレンドに逆らった売買で利益を得るのは難しい。


  全部読んでは頂きましたが、このうちの1と4と5は実践では使用しません。



  まず1は価格はいろんな要素があってそのすべてを織り込んで決定されるみたいですが織り込まれようが織り込まれなかろうが我々には関係なさそうなので次('ω')ノ




  4は株式の話であり工業生産がどうとか鉄道株だとか為替には生かせそうにないですからやりません。


  そして5の出来高に関して為替ではわかりようがないんですね。

出来高(できだか)は株等が一日、あるいは一週間や一か月に成立した売買の数で、株の場合は株数、先物の場合は枚数で表される。


  株の場合一つの会社の株の成約した売買数が出来高となるのでまあ把握できない数ではないでしょうが、為替では世界中の人が売買しています。それの出来高(成立した売買数)なんてわかりようがないですね笑







  1と4と5を使わないとなると今回のテーマは残り物のあれですね。('ω')






トレンドには3種類ある



2.トレンドには3種類ある


ダウ理論では、価格変動の分析において市場動向(トレンド)を重視する。そのトレンドを以下の3つに分類している。


主要トレンド:1年~数年のサイクル。


二次トレンド:3週間~3ヶ月のサイクル。


小トレンド :3週間未満のサイクル。


これらのトレンドは互いに独立しているのではなく、二次トレンドは主要トレンドの調整局面であり、小トレンドは二次トレンドの調整局面として捉えられる。




  なんでダウ理論の最後に2なんだよ最後っつったら6だろと思うアンチ気質のひねくれさんもいるとは思います。(さすがにいないか)



  これは説明の都合上トレンドというものをある程度理解をしていないと頭に入りにくいと考えたからなのです。ご了承ください。






  トレンドには3種類あるということはダウ理論の引用を読めばわかるとは思いますがあれでは期間が長すぎて我々デイトレーダーには実践的ではありません。


 ですので私なりに使いやすい形に変換したうえで伝えていきたいと思います。




  まず時間軸の規模としては主要トレンド>二次トレンド>小トレンドとなります。


  
  これをデイトレの規模で為替の時間軸にあてはめますと、


  


  日足のサイクル>1時間足のサイクル>5分足のサイクル


  
  おおよそこんな感じだとイメージしながらこの先を読み進めてみてください。
  

これらのトレンドは互いに独立しているのではなく、二次トレンドは主要トレンドの調整局面であり、小トレンドは二次トレンドの調整局面として捉えられる。



  これというのは一番大きな波のなかに中くらいの波があり、その波の中にさらに小さい波があるということになります。  



  これをエリオット波動でを当てはめてみると、


  こういう状態のことを指しています。





  大トレンド(黒波)の上昇波と調整波の中に、
  中トレンド(赤波)のエリオット波動がすっぽり入っていて、
  小トレンド(青波)赤波の上昇波それぞれでエリオット波動を形成している




  日足で見れば黒波のように見えて、1時間足で見れば赤波のように見えて、5分足で見れば青波のように見えます。このように相場は大トレンドで見ても中トレンドで見ても小トレンドで見てもすべて相似な図形(この場合エリオット波動)をしています。このことをフラクタル構造と言います。





  このように相場を一つの時間軸だけで見るより、上のように異なる時間軸の状況を加味して当てはめて見ていくことでより便利で強い戦略を作ることが可能になります。



  例えば赤波の三波の中の青波の3波



  こういったところは伸びるべくしてぐんぐん伸びる可能性があるわけです。



  逆に、赤波5波の中の青波5波

  ここら辺ではすでに利益が出ている人間が利確をし始めて上昇の勢いが弱まっていたり、それをみて逆に新規で売りを入れる人間がいると考えられます。なので大きく下げてくる可能性がかなり高い場所であると考えられます。





  このように大トレンド、中トレンド、小トレンドそれぞれの時間軸の状況をしっかり見ていくことで、


  ”これからどのようなことが起きる可能性がある場所なのか”ということの見当を付けやすくすることができます。







  今回は全時間規模でトレンドが出ている、という非常にわかりやすい仮定の下での説明でした。





  しかし実際の相場ではトレンドだけでなくレンジ相場もあり、”トレンドだと思っていたらレンジ相場に移行していた”というパターンも多いです。上に行くか下に行くかだけでなく停滞という選択肢も出てきます。



  
  ”そうなってくるといよいよ”これからどうなっていくかなんてわかりっこねえじゃん”
となると思います。



  しかし相場は、



  基本的には大きな時間軸の流れに短期の時間軸が飲み込まれていきます。
  
  (もちろん例外も多くありますが)



  1時間足から日足くらいが一番テクニカルが効きます。それだけ多くの人がそのくらいの時間軸を意識しているので。



  なのでその性質を生かして、



  大きな時間軸で見た時にどのようになりやすい状況なのか
(デイトレなら日足から4時足1時間足)


  実際に大きな時間軸で見た方向になりそうなら短期足でタイミングをはかりエントリー(デイトレなら15分足5分足)




  これを徹底することが大切です。



  例を出したいと思います。
  


  日足では上昇が続いてきている。1時間足では1波らしきものが確認されて調整波の途中。その調整波を5分足にズームして見てみたら下降3波の戻り高値を抜く5分足レベルでの1波らしきものを確認。5分足レベルでの調整2波も確認し高値を更新したタイミングでエントリーみたいな感じです。図に書くと、



  緑のラインでエントリーということになります。





  黒波での上昇がありその流れに沿う赤波の1波を確認し、調整2波が終わり3波がでる可能性のあるポイント



  という環境で、




  青波の下降3波が終わり赤波と方向性の一致する新たな上昇1波を確認し、1波でつくった高値を更新するというタイミングでエントリー。




  みたいな感じです。




  具体的なエントリーの場所や環境認識(長期足の分析)はまた記事をおいおい書いていこうと思います。






  言ってることわけわかんねとなっている方は相場は大きい波の中に小さい波があるマトリョーシカになっていて、大きい時間軸で戦略を立てるんだなぁとおぼえておいて頂ければ大丈夫です(*'ω'*)


  むしろそれがすべてです(*'ω'*)



まとめ



 これでダウ理論の基本は終了となります。



 3回に分けてきたどれも波の本質的な特徴ですので、くれぐれも基礎なんかどうでもいいわ!とはせず、検証を繰り返していただければと思います。




  それでは今回も読んでいただきありがとうございました!